読感


世界でたったひとりの子

世界でたったひとりの子

内容(「BOOK」データベースより)
はるか遠くに緑の土地がある。いつの日か、あの場所に行こう。タリンが知っているのはこの部分だけだった。出だしの歌詞と切れ切れのメロディーだけ。ほんとうの歌なのか自分が頭の中でつくりあげた歌なのかそれもわからない。世界はぼくらに復讐する。

内容(「MARC」データベースより)
そう遠くない未来、大人だらけの世界で、数少ない本物の子ども、タリンは「子どもとのひととき」を提供することで暮らしをたてていたが、大人になる前に「永遠の子ども」手術を受けるよう期待される…。

前半は5つ星。

いや、別に後半が悪いわけではない。
良いストーリーである。


ただ、前半があまりにも良すぎる。
寿命が150歳まで延びた。
そしてまるでその結果であるかのように、
子供が生まれにくくなった世界。
(作中はウィルスが原因となっているが。。)
数少ない子供である主人公の少年。
少年の寂しさがひしひしと伝わってくる。
生きること、老いること、そして医療、
子供というものの存在の意義。
色んなことを考えさせられる。



そしてストーリーはどんどん展開していく。
ラストはハッピーエンドだ。
分かりやすい。


あぁ、でも、それでもやっぱり、
全体に漂っているテーマのようなものは変わっていないかな。
人は何故生きるのか。何に希望を見いだすのか。
時間を止め、美しいまま腐っていくような世界。
老化防止薬によって、肉体的には40歳ぐらいのまま、
150歳前後で死亡していく世界。
それは幸せな世界だろうか。
これはもちろんSFで、いくら医学が発達したとしても、
現実的には「不可能」な世界だろう。
それでも「あり得ない」世界を描き出せるのが、
小説や映画の良い点である。



やっぱり良い本なんだろうな。
お勧めです♪