読感
- 作者: 渡辺淳一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02/08
- メディア: 文庫
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出版社/著者からの内容紹介
一人は腕を切断されて軍籍を去り一人は切断されずに栄光の道を歩むという人生の明暗を緊密に構築した直木賞受賞作「光と影」のほか「宣告」「猿の抵抗」などを加えた秀作短篇集。解説・小松伸六
昔は好きで良く読んでいたんだけど。
途中から、不倫ブームに乗ってしまい、どうにもね・・・(爆)。
新装丁版みたいで、買ってみた。
表題作の「光と影」はいまいち・・・・・
なんというか、単に史実を書いただけ・・に思えてしまう。
何故直木賞取ったんだろうか・・。
運命を分けたのは、カルテの順番だけだった、
ということを言いたいんだろうけど、
それこそが個人の持つ「運」なのではないだろうか。
カルテの順番が逆だったなら、それぞれの運命も反対になっていただろうか。
違うよねぇ、絶対。
一人目の切断手術の後、何故か、ふと、もう一人の腕を切りたくなくなった医師。
その何故か・・という、漠然としたものこそ、個人の持つ運であるのではなかろうか。
光と影ではない。運命のいたずらでもない。
なるべくして、なった。
私は運命論者ではないけれど、そう思う。
そして、この「影」の人生を歩んだ男が、もし、切断を免れていたら。
その後死んでいたかも知れない。
生きていたとしても、総理大臣にまではならなかったかも知れない。
腕を切られなかったとしても、「彼」と同じ人生が待っているとは限らない。
人生とはそういうものではないだろうか。
ちなみに他の短編はなかなか興味深く読めました。
彼の初期作品、もう一度読み直してみようかな。
花埋みとか、あの辺りの作品は好きだったなぁ。