読感

三千枚の金貨 上

三千枚の金貨 上

三千枚の金貨 下

三千枚の金貨 下

★★★(★)
文庫が出てからでいいかな、と思いつつ、
他にめぼしい本がなかったので購入。
どこを切り取っても宮本輝である(爆)。
そう言う意味では安心して、宮本ワールドに浸って読める。
同じようなストーリーなのに、飽きないのは、この人が書く風景が魅力的だからだろうなぁ。
外国だったり国内だったりするけれど、どの「風景」も、そこに足を運んで、同じ風景を見てみたい、と感じる。
昔、エッセーか何かで、「道ばたに落ちてる石ころ一つからでも物語を作れるのが作家だ」というような事を語っていたが、
この人は風景から物語を作ってるんだろうなぁ、と思う。


しかし、この人ほど、変わらない(似たような?)テーマで小説を書く作家さんはいないのではないかと思う。
運命であるとか、宿業、流れていく事、命、昔も今も、ぶれない。
普通はその年代ごとに、興味の対象が変わっていくから、作家さんを出版日順に読んでいくと、
あぁこういう事に興味が移ってきたのねぇ・・と思うのだけど、この人は、あまり変わらない。(と思うw)
自分の世界で生きてるというか、目の前の人間に興味がない?自分を乱されるのが嫌?
なんと表現していいのか分からないけれど、とにかく自分の世界というものの中で生きているように感じる。


ま、私も歳を取ったということで。
次からは文庫が出てからでもいいかな。